屋久島旅行記
ウィルソン株から縄文杉


■ウィルソン株

やったあ、ウィルソン株だ。巨大な切り株のなかは空洞で、広さが10畳程もあるんだって。
 たくさんの人が休憩をとり、ウィルソン株の前で写真をとっ
ていた。自分たちも写真を撮ってもらい、株の中に入ってお社に道中の無事を祈って参拝。湧き水をちょっとすくって飲んでみる。とても冷たくておいしい!
 ここの景色は最高だ。帰りはゆっくりしよう。さて、出発!快調、快調!結構調子よく行けそうなのですっかり気をよくしていたところ本当の苦しみはここからだった…。
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■ウィルソン株〜縄文杉

 ほとんど雑誌にもパンフレットにものっていないけど、ウィルソン株を過ぎたところが一番の難所だったのだ・・・。それまでとは段違い。キツイ!急な、登り、登り。心臓バクバク、呼吸はハアハア。脈拍は一気に上がって血管切れそう。ま、まずい・・・失敗だ。友達のようにジャージにすればよかった。汗でべっとりしたズボンは足をまげるたびにクキーっと抵抗が大きい。ここからは足の筋力の勝負みたい。友達はさすが女子サッカー部に在籍していただけあって健脚だ。脚力のない私は急についていけなくなる。足が重い。ズボンの膝の上の方をつかんで腕の力で足を引っ張り上げたりしながら登る。すでに目はうつろ。頭はモウロウ。
 『甘かった。どうしよう・・・これが1時間続くとしたらもう駄目かも。吐くかも・・・』と真っ青。友達はサクサク登る。呼吸も乱れないし、それまでとペースが変わらない。おそるべし。
すぐ見えなくなる(お〜い、置いていかないで〜!!まってええ・・・)。心で叫ぶけど、もうしゃべる余裕もない。ほんとにどうしようかと思いました。でも、きつかったのはここだけ。上から友達の声。

「おーい、もう下りだよおー。」「助かった!」
あとは登りと下りが交互にあるので、平坦な道と下りで回復することができました。途中ヤクザル出没。
ドキドキ。異常に猿が怖い私は、どいてくれるまで物陰に隠れて待つ。ひたすら道なき道をよじのぼり、下る。途中下ってきた学生さんにあとどのくらい?と聞くと、「30分くらいですよ。」という返事。私たちなら40分かそれ以上か。あと30分と思ってそれより遠かったらいやなのであまり考えずにひたすら進む。大王杉、夫婦杉(見落としやすい)を越えてまだ歩く。難所を越えても
やっぱりなかなか大変。もう「キノコ発見!」などと言う余裕はない。
 すでに思考力を失い、無表情にひたすら歩くマシーンになっていたと
ころ、一人のお姉さんと擦れ違った。「あと5分くらいですよ。」と言わ
れ、「わーい」と色めき立って急に元気になる。
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■縄文杉と対面

残り5分は足取り軽く小
走りに駆けていくと(人間って結構力が残っているもんだね)、さてはあ
れか!木の階段を登って(最後にこれもきつい)、上につくと、あったあ、
縄文杉だ!7200年も生きた杉。すばらしい!他の杉とは異なり人はすぐそばまで近づけない。この展望デッキは縄文杉を傷つけないために設けら
れたそうだ。そばまで言って、触れることができたなら、その偉大さをも
っと体感することができただろうと思うと少し残念だけど、それでも独特
の姿は圧巻。私たち人間がたやすく近づいてはならないような神聖さがこ
の木にはあるようです。
 なにはともあれ、バンザーイ、バンザーイ!!うれしくって疲れはふっとんでしまった。
このとき10時半。出発からちょうど4時間でした。

あとからあとからどんどん人が到着し、賑やかな雰囲気のなか、縄文杉のそばでみんなお昼ご飯を食べ、ゆっくり休憩をとってから12時前に縄文杉に別れを告げる。またいつかきっと来れますようにと念じながら。

 帰り道は、精神的に余裕があるし、達成感もあるからすがすがしくて元気になっている。もしかしたら縄文杉にパワーをもらったのかもしれない。視野も広くなって、行きには見えなかったまわりの景色がよく見えるようになる。これから縄文杉をめざす人と出会うと、ひたすら足元だけを見ていてみんな苦しそうな表情をしている。きっとさっきまで自分たちがそうだったんだろう。つい、「あと少しですよ。がんばってください。」などと言葉をかけてしまう(えらそうに)。
 でも、ゆとりがあるのは心であって、下りは身体への負担をより強く感じました。下りの一歩一歩は足の骨、ヒザ、関節にコンコンとハンマーを打ちつけてる感じ。靴のなかで足の親指が痛い。靴のクッションが足りないんだね。やっぱり山はジョギングシューズでは無理があるみたい。痛いところをかばう歩き方をすると、たちまちどこかの骨が痛くなる。運よく怪我はしなかったけれど帰り道のほうが確実に危ないです。
帰りはウィルソン株でしばらくボーッとして、湧き水をペットボトルにいっぱい汲んで休憩をこまめにとりながら帰りました。

 縄文杉にたどり着けたことで、なんだか元気になったし、(体力に)自信もついたし、なにより長い時を経て息づいている巨木たちに逢えてとても貴重な感動体験ができたと思います。
 まだ、屋久島に行ってない人はいつか行ってみてください!なにもかもいやになったときもいいかもしれません。ものすごくリフレッシュできます。体力のないあかんたれの私が行けたんだからきっと大丈夫。ふだん、ちょっと運動したら筋肉痛になる私がこれほど運動して筋肉痛にならなかったところをみると、ほんとうに杉のパワーをもらってきたのかもしれません。

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