屋久島旅行記
屋久島のサルとシカ


 関西人にとってサルのイメージは箕面のサル。鹿のイメージは奈良公園の鹿。どちらも、危害を加えないことを知っていて人間をナメ切っている。ちょっと油断するとタックルされる。持ち物を奪われる。紙袋をやぶられる。奈良公園の鹿に五千円札を食べられた人も知っている。

 しかも、屋久島に行く前から「ヤクザル」というシャブ漬けのサルみたいな響きに私たちはかなり警戒心をもっていたのだ。パンフレットに載ってる写真なんか濃いネズミ色。うわ〜、かなり悪そう…。

 屋久島には人間2万、猿2万、鹿2万、という言葉がある。もちろん真実ではないけれど、みんな平等だということを表した言葉らしい。
確かに、ちょっと動くとヤクザルとヤクシカに出会う、出会う。

屋久鹿はとてもきれいだ。すっくと立った姿は神々しい。しかも後ろ姿はおしりがプリティー。奈良公園ほど人慣れしていない野性の鹿なので人間とは一定の距離をとってくれるので安心です。
それでも人間が危害を加えないことは知っていて安心しているようで、ときどき横目で私達を見ながら草をモグモグしています。

 と・こ・ろ・が!
サルはやっぱり箕面のサルと変わらない!かつて人間が餌をやっていたなごりで(今は決して餌をやらないように観光客に厳しく呼びかけている。)止まった車にはわらわらと群がってくる。山道を行くと対向車線に、うっかり止まったためにサルにむらがられて動けない車が時々いるので、内心「くくく、愚か者め!」と思いながら私たちは決して止まらないでおこうと誓いあっていた。山の中でサルにでくわしても完全無視を決めていた。片方が見つけても、もう一人が動揺するので、言わんといてな、と約束していた。

 最終日、ヤクスギランドへ向かう途中、山道いっぱいにサルが群れていて、あろうことか前方にサルの写真を撮ろうとして止まっている車が。
 「こらー!とまるなあ!!」ブッブッブー!
 はばまれて連続4台が止められてしまった(私たちは3台目)。やばい。
そうこうしてるうちに、群れの中からりっぱなサルが躍り出て、まっすぐ私たち車に駆け寄ってきた。やめてー!…あーあ、やられてしまった!あっというまに車に飛び乗られてしまったのだ。

 猿は目を合わすのを恐れるなんて誰が言ったのか?フロントガラスに
へばりついて思いっきり顔をのぞきこむやんか〜!!目があっても平気
やんか〜!
 ゆらゆらと動きながら目が「なんかくれ、なんかくれ!」と言ってい
る。ひ〜。(同時に、結構寄り目やな・・・毛、ふさふさやん・・・など
と考えている。)

 そうだ!猿の写真を撮ってフラッシュでびっくりさせようと思い、かばんに手を突っ込み取り出したのは、カメラではなくキャラメルの箱。
(バカーッ!逆効果やー!!(だってサイズが似てるんだもん。)
とたんにサルの瞳に期待の色が強く認められたのは言うまでもない。

 さらにわらわらと次の猿が近づこうとするアクションをするので(やめれー!)やむなく猿をつけたまま時速10kmくらいで動くことにした。(その前に勇気のある車が強行突破したので道に広がっていたサルが少し動いたのだ。)

 すると、のってる猿も、群がってる猿も、ちょっととうろたえ、うっとおしそうに動き出す。車上のサルは、同じくすでに群がられている前の車にひらりとびうつってくれた。ふー、強行突破成功。サルも轢かずにすんだ。

安心した ら急に余裕が出て「雨にぬれた姿は結構かわいかったね。」「毛並みいいねえ。」などと語り合っていました。

しかしおサルさんは目に表情がありますね。かなり知恵もあるのであなどれません。
ヤクザル、やっぱりこわかった・・・。








■屋久島旅行記トップに戻る     ■ e-naのHP「旅のページ」トップに戻る
   
inserted by FC2 system